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6. 強い大韓民国運動に対する批判

地球村平和研究所(GPI)

はじめに
最近、統一グループをはじめ、本当に心配される動きがある。「強い大韓民国」運動がその中心にある。グループレベルで大々的に進行しているこのキャンペーンは、単に富強な国の建設を目的とする社会運動と見るには、様々な問題要素が多い。この文は、統一グループの強い大韓民国運動を批判するためのものである。摂理的観点から、教会内外の活動面から、社会全体の観点から、この運動の論理的矛盾を指摘し、さらに南北の関係や国際関係の次元で問題を考察した。この文をもとに、摂理として生きていく統一家食口と理想天国の主人意識を持って生活する祝福家庭との間で、神様を中心とした真の平和世界建設のための活動の対案が、模索されることを願うものである。

1。摂理的観点から見た問題点

1)摂理運動の歴史
真の父母様は全生涯を通して、世界的次元で長子権、父母権、王権復帰に勝利された。真の父母様のこのような摂理路程ゆえに、各時代を代表する摂理機関を立てて活動の中心とした。 60年代の国民啓蒙運動から出発して、70年代は国際勝共連合を中心とした勝共運動を推進、80年代は南北統一運動国民連合を通して南北統一運動の先鋒に立った。以後90年は世界平和超宗教超国家連合を立てて、超宗教平和運動を進めてきたし、2000年代に入って天宙平和連合を設立、国連の更新とアベル国連創建、国境を越えた人類一家族平和世界実現の運動を導いて来た。

2)家庭連合時代開門の意味
真の父母様を中心とした摂理路程において最も注目すべき事件が、まさに世界基督教統一神霊協会を廃して、世界平和統一家庭連合時代を開いたことだ。家庭連合の時代を開きながら、真の父母様は、教会を中心とした個人救援時代が過ぎ、夫婦を中心とした家庭救援時代が到来したことを宣言された。これは、祝福中心家庭の摂理的位置に合わせて、すべての信仰的パラダイムが個人から家庭に移ったことを意味する。私の誓いを家庭の誓いに変えたこと、祈りの結びを祝福中心家庭の名前にしたこと、さらに、神様にささげる祈祷さえも報告という表現に改められたことが、すべて同じ脈絡である。これらのすべては、祝福中心家庭として摂理的責任と主人意識を持つことを力説している。
真の父母様の次のようなみ言で、家庭連合時代が意味するものが何なのかがよく解る。 「キリスト教統一の為の時代は、すでに過ぎました。長子権復帰、父母権復帰を完成したので、キリスト教の統一を越えて、世界統一の時代に進むのです。ですから、今日から統一教会の名前を取り下げ、世界平和統一家庭連合の名称を4月10日付で使用します。世界基督教統一神霊協会の使命が終わることよって、宗教の使命は終わり、救いを必要としない、人類史上初めて、宗教を必要としない新しい時代に入ります。家庭連合のビジョンは、家庭を理想家庭にすることで、神様の創造理想を復帰、完成し、天的理想世界を立てることです[1]」上記のみ言を見ると家庭連合時代の幕開けは、個人の信仰的次元だけでなく、世界の変化の次元で、世界が葛藤と対立を清算して、統一時代に入ってきたことを意味し、このような摂理的スケジュールによって、私達が、世界統一時代に入らなければならないということを意味する。

3)長子権、父母権、王権復帰と天一国時代の開門
摂理的発展の過程の中で、個人的救いの範疇に属する​​カインとアベルの関係の回復は「長子権復帰の勝利」、家庭的救いは、真の夫婦と父母の定着を意味する「父母権復帰の勝利」、国家と世界の救いは、この地に神様の主権の成立と定着を意味する「王権復帰の勝利」として、その意味を合わせて表現する。真の父母様の立場では、すでに王権復帰の条件を超えており、成約時代と天一国開門時代を宣布されたのである。
真の父母様の摂理路程において、世界的次元で長子権復帰と父母権復帰、そして王権復帰は、世界的次元で共産主義の崩壊と共にその結実を結び始めた。真の父母様は、ソウル•オリンピックが終わった直後、世界統一国開天日を宣言され、共産主義と資本主義の対立の時代を乗り越え、新しい統一文明の時代を開かれた。そして実体的には、ゴルバチョフ、金日成と会談、真の愛の心情で理解し、父母の心情で包容された。その後、真のお母様の大学巡回講演や南北韓大学生平和セミナーを実施、カインとアベル圏の子女たちが一つになることで、長子権復帰の勝利と父母権復帰の摂理的な結実を結んだ。これは、真の父母様を通して、左右のイデオロギーによる対立に点綴された20世紀の冷戦時代が清算され、新しい平和と統一の時代が始まったことを意味するものである。

4)平和と統一は、今のこの時代最高の摂理的理想
今は、真の父母様のこのような摂理的勝利が定着される時代である。まさしく、すべての人類が神様の下の人類一家族の理想に基づいて、超宗教、超人種、超国家的な真の愛の実践を通して、統一に向かって進んでいる。真の父母様が、新しいミレニアムの始まりと共にベーリング海峡を通過する国際平和高速道路の建設を提案されたのも、神様の下の人類一家族の理想を具体化して、地球村の一家族社会を実現するという摂理的ビジョンから始まったものである。
真の父母様は、銃剣を溶かして鋤とくわを作るように、世界各国は、軍備を削減し、平和のための事業に投資しなければならないと力説された[2]。世界のあちこちで戦争の費用にかかる予算を平和のための予算に回すと、人類は、すぐにでも貧困と戦争の恐怖から解放されるだろう。このような摂理的理想と時代的必然性に照らしてみると、強い大韓民国運動は、摂理的時計を逆に回しているようなものだ。
強い大韓民国運動の核心基調は、軍事的準備と対応をもとに武力的価値を拡散させれば、韓国と統一教が生きることができるという主張である。その論調は、周辺国の意図を歪曲し、安全保障上の脅威を誇張している。韓国の無分別な軍備増強と武力的手段の強化を叫ぶ、とんでもない動きだ。これは、真の父母様が長年築いてきた世界平和のための平和運動に、否定的な影響を与えることが明白である。真の父母様の摂理的ビジョンに最も合致するのは、葛藤と対立を超え、真の愛を中心とした平和と統一の理想であることを再度刻印する必要がある。

2。教会的観点から見た問題点

1)食口の信仰的な混乱を招く
強い大韓民国運動は、真の愛の実践を本質とする統一教会の信仰とは逆に、「目には目を、歯には歯を」の論理で、相手に対する武力的な対応を主張している。このような主張は、食口の信仰的生活と思考に大きな混乱と葛藤をもたらしている。祝福家庭も、子供たちに、全人類は神様の子供であり、一つの家族であり、真の愛を中心に信仰生活を守らなければならないと教えてきたが、今になって、自分が生きるために相手を力で制圧しなければならないという形の論理を立てることは、信仰的な観点で問題を呼び起こすしかない。結局、強い大韓民国運動のように、アベルが力がなくてカインに殺されたというような論理を立てて、平和は、力を土台の上にだけ保つことができるという主張をすればするほど、私達の観念の中には、真の愛、平和の理念は、希薄になるだろう。真の父母様の平和思想の伝令士とならなければならない祝福家庭が、力の論理に立脚して国家の対立を助長し、その対立の中心に立つ者へと転落する可能性も濃厚だ。長期的に見て、このような破壊的な観念は、祝福家庭のアイデンティティをぼかし、神様の摂理の主流勢力としての資格を維持することができなくなることになる。

2)真の愛、平和運動に対する自負心の喪失
食口は神様主義の使徒、真の愛による理想天国と平和世界の実現の主役という自負心を持って生きてきた。真の父母様の摂理路程において、対社会的ブランドとして培ってきた最高の価値は、平和と統一である。武力を強調する強い大韓民国運動は、これに違反するだろう。お父様の業績と平和思想に対する食口の誇りも失われる可能性がある。事実、強い大韓民国運動は、愛の実践を基本とする宗教団体の本質の姿に準拠していないので、信仰的アイデンティティに葛藤を呼び起こす要素が多い。この運動はまた、私達の平和思想と運動が、既存の右翼の論理と同類に扱われる糸口を提供する。統一教が再び政治参加を準備しているという誤解を呼び起こす可能性もある。根本的に分裂を助長する主張なので、社会の理念的葛藤をさらに深める可能性もある。[3]

3)対中国宣教活動と基盤構築の障害
真の父母様は、以前から中国に強い関心を持っておられた。中国に宣教師を派遣される一方、中国内の政府当局が認めることができる客観的な協力条件を立てようと努力されてきた。ドイツの機械工場を引き継ぎ、技術を中国に伝授するために、パンダ自動車プロジェクトを推進し、その近くに工科大学を建てたのも、すべて中国が南北統一と世界平和に寄与できるようにするためのビジョンに基づいている。しかし、このような真の父母様のビジョンにもかかわらず、実務者の能力不足でパンダ自動車プロジェクトは失敗に終わった。中国の活動基盤も、期待にはるかに及ばない状況であった[4]。社会主義体制の限界を考慮しても、これまでの中国に対する関心と投資を考えると非常に役不足なものであった。今からでも、中国の摂理的なビジョンを立てて活動を強化し、NGOを中心に平和交流を活性化させ、中国基盤を拡大しなければならない[5]。私達の運動が人類救援事業を放棄しない限り、中国が世界の平和に貢献できるように、関心のひもを解いてはならない。これに反して強い大韓民国運動は、中国敵対論理によって、中国政府と国民を不必要に刺激し、真の父母様と統一グループへの否定的なイメージを強め、今後の中国摂理に多大な支障をきたす可能性が高い[6]。

3。社会的観点から見た問題点

1)真の父母様の平和運動の業績毀損と平和大使の離脱が懸念
統一グループは、創立当時から真の愛運動​​を直接実行するため、様々な社会支援事業、奉仕活動、北朝鮮事業や国際平和運動を運営してきた。これは、戦争と貧困、病気から人類を解放し、人類一家族主義を実現しようとする真の父母様のみ旨から始まった。天宙平和連合、世界平和女性連合、青年連合などの組織が、今まで世界平和の基盤を広げるために努力してきた。その結果、真の父母様の平和思想に共感する教会外の人達まで、私達の社会活動に参加するようになった。その平和大使の多くが、強い大韓民国運動は、真の父母様の平和思想とはかなり反していると指摘している。彼らの心的離脱こそ、強い大韓民国運動が持つ否定的な影響力を傍証している。強い大韓民国運動は、その規模が大きくなればなるほど、統一グループの肯定的イメージと活動の功績を一度に倒してしまう癌のような存在になるだろう。

2)真の愛、統一精神に基づいた北朝鮮事業に障害
強い大韓民国運動は、今後、統一グループの北朝鮮事業の発展を阻害する要因になる可能性がある。真の父母様が北朝鮮の同胞に対する、真の愛の精神で始めた北朝鮮事業を弱化させている。真の父母様は、北朝鮮の経済を発展させ、北朝鮮の指導者たちの認識を変えるため、物心両面で多大な投資をしてきた。彼らを真の愛で抱き、平和的統一を成し遂げ、神様の祖国を取り戻すためであった。それと正反対に立つ、今の強い大韓民国運動は、北朝鮮に統一グループに対する敵対認識を植えつける可能性がある。そのような認識が深まったら、真の父母様の北朝鮮事業は危機を迎えるだろう。強い大韓民国運動は、表面上は北朝鮮に対する包容と中国への牽制を打ち出しているが、その根となる統一グループの信念に反する矛盾した性格のため、北朝鮮の信頼を得ることができないだろう。これは、平和統一を志向する私達に、直接または間接的な被害となって帰って来るだろう。

3)右翼団体とそしられる可能性
統一教会は、カルト宗教団体という汚名を洗浄するため、数十年間、超宗教平和運動と南北統一事業に大きな力を入れてきた。国境を越えた社会貢献活動と統一運動を進めており、文化や教育、スポーツにおいて様々な活動をしてきた。そして、一般国民に統一教会と言えば、すぐに思い浮かぶ肯定的な核心キーワードとして認識させることに成功した[7]。統一教会は勝共運動を通して、カルトや異端など否定的な概念を越えて、国民にとっては愛国団体として認識されるようになった。また、統一運動と北朝鮮事業を通じ、韓半島の平和統一運動に貢献する団体として認識され、肯定的なイメージを取り戻すことができた。頭翼運動[8]の一環として、左翼と右翼の中心に立って両方を同時に受け入れ、それらが持っている矛盾を止揚し、新たな統一運動を作っていくための努力を行ってきた。しかし、強い大韓民国運動は、力の論理を優先して保守的論理が中心となり、宗教的ルーツを失って右翼保守運動に転落する可能性が多分にある。こうなると結局、今までの真の父母様の平和運動は、大きく毀損されることになる。

4。南北関係から見た問題点

1)韓半島の対立激化、緊張高まる
韓半島の不安情勢の中で、強い大韓民国運動を通して防御的な名目で韓国の武器拡充と武力拡張を継続的に助長すれば、現在の兵営国家である北朝鮮の核開発や軍事力の強化をより一層煽る状況が起る。そうなれば、韓半島をめぐる緊張感は、さらに高まることが明らかである。
60年以上継続された分断状況で、韓国と北朝鮮は国民総生産のかなりの部分を非効率的な軍事費に注ぎ込んでいる。これ以上の軍備拡充は、国家全体の経済発展の足かせとなる。このような状況で、防御的名分が、潜在的な脅威に備えて軍備をさらに拡張しなけらばならないという論理は、韓国と北朝鮮、両側の軍備競争を招く悪循環を招くことにもなる。

北朝鮮は、今でも過度な軍備支出で経済成長が難しく、人民の不満が増している[9]。長期間にわたって政権がますます不安定になると、内部から崩壊する可能性も高くなる。結局、北朝鮮に急変事態が起こると、中国は、北朝鮮内の自国の資産と国民を守るという名目で、北朝鮮地域に軍隊を派兵する可能性が高くなる。これは韓半島で、米国と中国の間に大規模な軍事衝突が発生する恐れがあることを意味する。また、北朝鮮が急変事態に急速に崩壊した場合、統一費用は、交流と協力による統一費用よりも、はるかに増加するだろう。国家安保戦略研究所の発表(2011年2月)によると、統一後の30年間の統一費用を計算した結果、徐々に統一された場合、3220億ドルが所要されるが、北朝鮮が突然崩壊した場合は、その7倍以上の2兆1400億ドルが所要されるという。これは統一後、そのまま国民の負担になるだろう。したがって、韓半島の軍事的緊張と軍備競争を煽る強い大韓民国運動の論理は、決して望ましいものと見ることができない。

2)平和統一の障害要因として作用
民族的に、南北の長期分断は、南北両側に多くの苦痛と不信感を生み出した。このような状況で、軍備増強を押し出す強い大韓民国運動は、南北対決構図を助長し、理念的葛藤を煽る。和解と協力の雰囲気を遮断して分断をさらに固定化させ、平和的な統一を遅らせることにもなる。これはまた、真の父母様が主張する「為に生きる」という統一論理「統一は真の愛で」という論理とは正反対の反平和、反統一の論理として作用する。真の父母様は、相手と一つになることができる2つの方法を語られる。その一つは、目的が同じであること。そして、お互いに愛すること[10]。これは、相手を警戒し敵対する方法と論理では、二人は決して一つになることができないという平凡な真理を力説したものである。

3)韓民族の繁栄と成長の阻害要因として作用
中国を主敵と見る強い大韓民国運動は、中国との緊張関係を増幅させ、輸出の利益の相当額を中国から得ている韓国経済に、大きな悪影響を及ぼすことになる。また、非効率的な軍備増強に多くの資源と費用が投資され、経済的側面から、国際的競争力の弱体化と低成長をもたらすことになる。今でも毎年、国家予算の25%を占める国防費が、経済成長に大きな障害物として作用している状況で、軍備をさらに増強させようという論理は、国の経済を競争力の枯渇と低成長の悪循環の泥沼に陥れることとなる。これは、北朝鮮が世界4位の軍事力を維持するために、国の経済規模に合わない莫大な軍備を投資する状況の中で経済が後退し、結局、人民は貧しい生活を強いられるようになったことを見れば分かる。世界的な碩学フランシス·フクヤマ氏は「強い国家の条件」という彼の著書の中で、強い国は、文化や政治そして経済など、あらゆるものを総合したときに可能であり、決して短期間にできるものではないと主張する[11]。事実、北朝鮮がいくら強大な軍事力を持っていたとしても、総体的な国力では、韓国にはるかに遅れている状況だ。世界のどの国も、北朝鮮を強い国とは認めてはいない[12]。ほとんどの軍事専門家は、北朝鮮がたとえ軍事力では優勢だとしても、経済的能力等、総体的な国力が劣るため、開戦初期を除いて、持続可能な戦争遂行能力を保有していないものとみなしている。
また、強​​い大韓民国運動は、イスラエルを例にあげて、韓国もイスラエルのような国にならなければならないと主張する。しかし、韓国を取り巻く周辺国の情勢はイスラエルとは違っており、韓国とイスラエルを単純に比較することは適切ではない。イスラエルは、中東アラブ諸国に囲まれていて、アラブの主な敵対国とは、もともと貿易関係もほとんどなく、相手国と緊張関係にあって、失うものがなかった。これに対し韓国は、国の経済の大部分を貿易に依存しており、特に中国との交易が大きな比重を占めているだけに、中国を無分別に刺激したり、緊張状態を助長することは、経済的な面で致命的な打撃を受けることとなり、決して望ましくない。李ミョンバク政権に入って大衆関係を強化し、戦略的パートナー関係を結んだこともすべて国益のための選択だった。中国は、たしかに経済的な面では韓国を、安全保障の面では、北朝鮮を重視するツートラック(two track)政策を追求しているが、私達はそれを非難できる立場ではない。近年、天安艦爆沈と延坪島砲撃事件について、中国が北朝鮮を直接非難できず、関連当事国の冷静と自制を促したのは、中国政府のこのような立場を反映したものだ。しかし、中国も自国の安全保障に脅威となりうる北朝鮮の核兵器開発問題には、断固たる反対の立場を取っており、韓半島での緊張を引き起こす北朝鮮の冒険主義的行動を抑制するために、それなりの努力を尽くしていることもまた事実である。
私達の立場から、中国のこのような態度が一方的に北朝鮮に肩入れしているようにも見えるが、これは韓半島の韓国と北朝鮮という二匹のウサギを捕まえようとする中国にとっては、避けられない選択だろう。これは、中国にとって平和の状態での韓国との交易が、彼らの国家的利益にも非常に重要だからだといえる[13]。このような立場にある中国を、私達が主敵として軍備拡張をもって刺激することは、中国との関係において、不必要な対立と緊張を呼び起こす可能性を増幅させ、韓国の利益にも絶対に良くない影響を及ぼすことは明らかである。

4)中国内の韓国企業と同胞への被害が懸念

韓流の影響で韓国に対する肯定的な意識を持っている中国人に、中国を主敵と見る強い大韓民国運動は、中国内の反韓感情を拡大させるとともに、中国に居住する多くの同胞たちと事業をする者に、直接または間接的に被害を与えることになる。韓国商品と韓流コンテンツの輸出にマイナスの影響を与えるのは確かだ。日本においても竹島問題に端を発する日本内の反韓感情が右翼勢力の蠢動に便乗して反韓感情として悪化したように、中国内の反韓感情が増幅されることは当然のこととなる。

5。国際戦略と周辺国との関係の側面における問題

1)孤立を招く中国牽制と敵対政策
中国を主敵とする政策が、かえって韓国の孤立を招き、統一を遅らせる要因となる可能性がある。このような結果は、中国との経済的関係を難しくする原因へと発展することになる。韓半島の分断は、韓半島をめぐる4大強国の複雑な利害関係の中で行われた歴史的な帰結であった。その中で統一を成すためには、周辺4大国との協力関係が不可欠である。しかし、統一グループの強い大韓民国運動は、中国を韓国の最も脅威的な存在とみなし、排斥すべき目標と想定することで、中国の武力の使用をさらに正当化させ、拡大させる結果を招く可能性が大きい。同時に強い大韓民国が武力増大だけを持続的に強調するため、中国の韓半島政策は、消極的になる可能性が大きい。また、中国に対する敵対的政策が、韓半島統一に対する恐怖となり、統一問題に非協力的な姿勢をとるようになり、韓半島の分断をさらに固着させる原因と成り得る。真の父母様がかつて南北が統一されるためには、強大国が南北統一に協力することができる道を開かずには難しいと強調したのは、このような国際的力学関係についての洞察に基づくものであるということを知るべきである[14]。

2)日本の武装力を促進させる要因として摘要される可能性
韓国の軍隊の武装力を強調する強い大韓民国運動自体が、中国と北朝鮮にも脅威となるだけでなく、同​​盟国である米国と日本にも脅威を与える要因として作用する。これは韓半島に最も近い日本の武装力を強化する要因としても作用する。加えて、日本の武装力を強化しながら、周辺国への侵略的本性を露骨に表現する日本国内の右翼的活動をより一層促進させる可能性も大きくなる。こうなると統一グループが日本国内の右翼団体と結託して、東北アジア地域での緊張を助長する反平和勢力として烙印を押される可能性も排除できない。また、東北アジア地域で無限疾走のような軍備​​増強が加速されて、東北アジア地域での緊張が高まるという悪循環となり、私達の理想である平和世界の実現に大きな障害をもたらすことになる。

3)米国の世界戦略に対する無知から出た論理
強い大韓民国の論理は、米国が、長い間、財政赤字に苦しんだことなどを挙げ、莫大な国防費に対処できなくなる状況となり、最終的には、韓半島から徐々に手を引くという仮定に基づいて、今後の中国勢力の膨張を阻止するためには、韓国と日本が武力を拡大するべきだと主張している[15]、このような主張により、最近、中国管理の離於島に関した発言が出てくる状況で、それなりに説得力を得ているのは事実だ。世界のどの国でも隣国との領土紛争はあるものであるが、その度に、軍事的手段によって解決することは、決して賢明な方法ではない。竹島問題も韓国と日本の間では常にある問題ではあるが、その度に近隣諸国の意図に対抗して、軍事力の強化だけを主張すれば、韓半島周辺の軍拡競争は、ますます激しくなるだろう。つまり、外交的に解決できる問題を軍事的手段で解決しようとするのは、事態をさらに悪化させるきっかけとなりかねないことを肝に銘じなければならない。済州島海軍基地の建設問題は、盧ムヒョン政権の時、大洋海軍を目指して推進されてきたもので、本来の意図は、常に国防力を強化し、米国との依存的な軍事同盟から抜け出し、米国と中国の間でバランサーの役割をするための目的として試されたものである。しかし離於島問題が治まると、保守的な言論が済州島海軍基地建設の必要性を離於島問題と関連して世論を集めており、その対称点に立った進歩勢力は、済州島海軍基地が米国の対中国軍事戦略に使用されることを懸念して、表面上、環境と生態系の問題を持ち出しながら激しい反対をしている状況である。政権が変わることによって、済州島海軍基地は、本来の目的とは別の名分を持って推進されているが、明らかにしなければならないことは、、海軍基地建設は予定通り進行したとして、この問題は、中国を不必要に刺激し、韓国の西南海域で、中国の軍事力を強化させる名分を提供してはならないという点だ。また、将来の不確実な軍事的衝突に対して、私達が最初に大騒ぎをすれば、日本が竹島を狙うのと同様に離於島を国際紛争地域にしようとする中国の意図に巻き込まれる可能性が大きい[16]。
一方、米国は自国の安全保障に最も利害関係がかみ合っている東北アジア地域が、決して中国の覇権下に入ることを容認しない[17]。最近、米国が二つの戦争に対して同時実行戦略を廃棄する過程でも、戦略的に集中すべき地域を東北アジアに置いたのは、これを後押ししている。また米国は、中国が太平洋とインド洋に進出することに対して、世界的次元で、中国包囲戦略を駆使している中、韓半島は、東北アジア地域では決してあきらめることができない地域である[18]。米軍の韓半島駐留は、韓国を助けるという意味ももちろんあるが、それよりも東北アジア地域で、米国の覇権を維持するための目的がより大きいことを認識しなければならない[19]。
このような観点から最も賢明な方法は、直接、武装態勢を強化するのではなく、米国の軍事力と対中国戦略に適切に便乗しながら、中国とは不必要な摩擦を避けることである。そのためには韓国が中国に対して、敵対的な政策を推進しないということを示さなければならないし、誤った信号を送って、相互に極限的な緊張と対立が造成されないように努力しなければならない。

4)自衛的核兵器保有の正当化論理として変質する可能性
強い大韓民国運動で、防御的な目的として武装拡大を持続的に追求すれば、北朝鮮の核保有の正当性を認めざるを得ない論理的矛盾に直面することになる。米国と西側諸国の侵攻に備え、自衛手段として核兵器保有を主張する北朝鮮の論理を反駁する余地がなくなるだろう。今、イランや北朝鮮が主張するように、世界的に問題となっている論理が、まさに、このような自衛的次元または平和利用のための核保有の主張である。また、北朝鮮に対しては、自分たちに対する敵対的な軍事政策を追求して、軍備を増強する韓国を理解させることができない。核兵器を放棄して、平和のための交渉として誘引することができる根拠がないのである。結局、強い大韓民国の論理は、北朝鮮の核問題の解決を困難にし、核兵器の世界的拡散をあおる論理へと変質する可能性がある。これは、北朝鮮の非核化と平和統一を追求してきた真の父母様の平和と統一のための運動にも合わない。 1991年、真の父母様は、北朝鮮の訪問を通じ、平和統一のために金日成主席と10項目を合意し、軍備縮小と北朝鮮の非核化のための共同宣言を発表している。

5)中国の将来に対する楽観的な見方がもたらす危険性
中国は最近、G2国家としての威容を備えて、国際社会でそれなりに、その地位に合った役割をしようと努力している。多くの専門家が、中国が毎年、二桁の軍事費支出の増大を断行した事実に立脚して、中​​国の軍拡に懸念を示している[20]。それと共に、中国が、経済的に徐々に強大になって世界を脅かすことなど、中国の浮上を警戒する声も高い。中国が世界の超大国の地位を獲得した後、数十年以内に、米国のGDPを追い越すとの見通しもある。これらの見通しは、ほとんどが中国社会の肯定的な側面だけを見てのことである。しかし、中国は現在、開放と改革の中でも、都市と農村間の開発の格差、貧富の格差の拡大、不動産バブルの増加、政治的自由の制限などにより、多くの困難に直面している。ノーベル経済学賞受賞者ポール·クルーグマン教授は、中国の現在の状況が、1980年代末の日本や2007年の米国でバブルが絶頂に達したときと似ていると指摘した。日本は1980年代末、バブル崩壊以降「失われた10年」を経験した後、まだ不況のどん底から抜け出せず、アメリカは、2007年の不動産バブル崩壊で住宅ローン市場が崩壊し、金融危機が浮上した。
現代のノストラダムス(Nostradamus)という評価を受けている米国の軍事政治専門家のジョージ·フリードマンは「未来」というタイトルで記事を書いたことがあった。彼は、米帝国が今後500年以上続くだろうとした。米国の影響力が今後も世界的に持続されるだろう。その理由は、世界のどの国も、米国経済の影響から抜け出すことができないからだという。
これに対しフリードマンは、中国は将来的に崩壊することが見込まれる中で、韓半島は統一されるだろうと予想した。フリードマンは、中国という恐竜に対して恐れないようにと韓国に忠告する。中国は今後10年以内に、輸出依存度と貧困の矛盾を克服できず、危機を迎えることになるだろうということだ。このような観点から、何人かの専門家は、中国が従来のように莫大な軍事費支出に耐えられなくなり、結局、軍備縮小を大幅に断行しなければならない状況に陥ると予想している。フリードマンは、中国がこのような状況になれば、米国は中国が崩壊しないように助けなければならず、韓国が統一できるように助けるべきだと主張した。そうすることだけが、中国の没落に乗じて急浮上することになる日本を牽制することができるというのだ。このようなフリードマンの論理は、中国の膨張に備え、韓国と日本が武装力を強化しなければならないという強い大韓民国の論理とは正反対である。フリードマンのこのような論理は、米国は中国の浮上を恐れるのではなく、中国の没落に乗じて東北アジア地域で強者として、再浮上することになる日本に対して警戒を促したもので、これから韓国が東北アジア地域での、米中日3ヵ国の隙間の中で、難なく緩衝国家としての役割を果たしながら、適切に生存することができる方法が何なのかを見せていると見られる。

最後に
強い大韓民国運動の論理は、多くの矛盾点を内包している。その論理は、摂理的時代の変化を見る視点を歪曲するだけでなく、真の父母様の平和思想と業績、そして既存の私達の運動のアイデンティティを根本的に否定する。まさに右翼的な社会団体が主張するに値するもので、愛の実践と平和を志向する宗教団体の根本的属性にも決して合わない。これにより、逆に私達は、真の愛の精神で、すべてのことにおいて葛藤と対立を解消し、平和と統一を目指すべき使命を忘却していることを認識しなければならない。平和は力によってのみ勝ち取れるとする思考のパラダイムに私達自ら埋没すれば、人類救援と人類一家族社会の実現をモットーにしていた従来の私達の運動は、自らそのアイデンティティを否定し、価値を失ってしまうことになるだろう。
平和を主張しながら、武力的な手段に訴えて軍備を増強しなければならないという論理は、個人的な概念の中では適当であるかもしれないが、相手と相手国の関係を前提とした土台の上では、ただちに矛盾に陥るしかないのだ。平和を守るための戦争に備えて、力を育てなければならないという論理は、私達自身を守る論理としては、そうかも知れないが、他の国を刺激し、彼らの軍事力を増大させ、その短刀が私達に返ってくる諸刃の剣となるのである。それだけでなく、近隣諸国との相互不信を助長して、非効率的な軍備に天文学的な費用が投資され、経済が低成長するという罠に陥り、国民の生活を疲弊させることになる。
国際関係では、常に良き隣人がいるわけではない。歴史的に見れば、隣国は常に相互の対立と葛藤の関係の中に存在してきた。これは、近隣諸国の間に利害関係が相反する場合が多かったからだ。極端な場合、国家間の戦争が避けられないケースも多かった。しかしこういう過程の中で、常に苦しむ当事者は、力を持った政治家ではなく、力のない国民であった。
政治とは、国民を助ける手段であるだけに、国家間の関係でも軍事的衝突を避け、外交的に問題を解決することができれば、その道を選ぶことが賢明である。そしてそのためには、私達も相手を信じ、相手も私達を信頼できる措置が必要なのだ。そしてこれらすべての信頼の措置が、関連当事国の国民の意識だけでなく、政策的側面から表わされなければならない。
本当に私達が平和を望むならば、自身を守ることができる力も必要だが、それよりもまず、相手に、私達が平和を志向しているということを信じることができる行動を示す時にこそ可能なのである。私達が今後も彼らに決して危害を加えることなく、平和的な環境の中でお互いに協力し合って、共同繁栄を追求することを望むということを、相手が信じることができれば、すでに平和は始まったも同然だ。人類史上、最も偉大な科学者であるアインシュタインの言葉のように、平和は力で維持されない。それはただ、お互いを理解する時にのみ可能であると彼は主張した。
最後に、南北の平和的統一を実現し、東北アジアと世界平和の実現の主役として、私達統一食口が立つためには、平和世界を実現するための真の父母様の平和思想をもとに国民の精神を啓発して、北朝鮮を平和的に支援し民主的に変化させていくように努力しなければならない。そして、韓中日3ヵ国が、相互の信頼を土台に、平和的な関係を持続的に維持し、共同繁栄を営んでいけるように、国際的な平和運動団体と連携し、各国政府に政策的努力を促すべきである。


[1] 天聖経 p1539~1540

[2] 平和メッセージ 1 神様の理想家庭と平和理想世界王国 p22~23

[3] キリスト教の宣教チャンネルCBSでは、強い大韓民国運動が、今後、統一教の政治参加のための道具として使用される可能性があるいう論調の報道をした。

[4] 中国で統一原理をもとに青少年が人格教育を目的として推進された国際教育財団(IEE)の活動は、かつて成功した姿を見せたこともあった。しかし最近になって、この活動は継続的な支援と関心の欠如のため、運動の持続性が保障されにくくなった。

[5] 2004年に推進された韓中女性指導者セミナーは、真の父母様の中国への摂理的ビジョンを実現するために推進された。その当時、多くの中国女性指導者たちが韓国を訪問し、真の父母様の平和思想に共感して姉妹血縁も結ばれた。しかし残念なことに、このセミナーは長続きしなかった。結果、中国社会に真の父母様の平和思想を伝播させるための実質的な成果を出すことができなかった。

[6] 中国政府の反感は、昨年12月、文亨進会長の北朝鮮訪問当時の出来事で確認された。当時、文会長は中国を経由して北朝鮮に進入する計画だったが、中国政府はビザ発給を拒否した。その原因に関しては、ダライ·ラマと関連があるという説が力説であるが、当時、強い大韓民国運動が本格的に推進されていたことも明らかに影響を及ぼしたのではないかと思われる。

[7] 2007年、平和統一家庭党は選挙のための事前調査の次元でギャロップに依頼し、統一教会のイメージ調査を実施した。その結果、一般国民は統一教会に対して、否定的な側面では、カルト、異端、そして合同結婚式などが連想されることが明らかとなった、肯定的な側面では、愛国および統一運動をする宗教団体として見られる傾向が多かった。

[8] 真の父母様が提唱した頭翼(Headwing)運動は、根本を神様主義とし、中心から偏ることなく、左翼と右翼を抱擁し消化しながら、両方の理念と体制の矛盾を克服しようとする運動である。

[9] 北朝鮮の先軍政治は、北朝鮮の経済を弱体化させる毒素である。時代錯誤的な武力増強論理にとらわれた北朝鮮の指導者たちの考えが変わらない限り、貧困と飢餓の問題を解決し、住民の生活の安定を図ることができない。長期的に北朝鮮が生き残るためには、武力に依存する基調を捨てて、周辺国との関係を改善し、人民の生活を向上させる政策、つまり先民と先経政策を推進しなければならない。

[10] 神の摂理から見た南北統一、p367

[11] フランシス·フクヤマ、強い国の条件、p40-60

[12] 北朝鮮は金日成誕生100周年である2012年を強盛大国進入の時期であるとした。しかし、北朝鮮は新年共同社説で、強盛大国の用語をこれ以上使用せず、それより低い段階の意味である強盛国家という用語を使用し始めた。これは、北朝鮮が先軍政治を掲げ推進してきた強盛大国の目標が、経済破綻などにより、実現不可能となったことを自認したものと見ることができる。

[13]中国は国家的利益の増大の面で、韓半島での緊張と対立が増幅されることを望んではいない。中国が最も懸念しているシナリオは、北朝鮮政権の権力継承が支障をきたし、クーデターなどにより急変事態が発生した場合、米軍と韓国軍が北朝鮮に進駐することだ。

[14] 神の摂理から見た南北統一、p547

[15] これらの主張は、米国が徐々に世界の紛争地域から手を引きながら、世界の警察の立場を遠ざかっていると主張し、米国内の世論は孤立主義を選ぶという見方と軌を同じくしている。しかし、これらの主張は、米国内の少数の世論に政策に反映されるには足りない面が多い。

[16] 明らかなことは、零度紛争地域ではないことを認識し、それに対する適切な対処が重要である。排他的経済水域(EEZ)の側面から見たとき、地理的に厳然と韓国と最も近い場所である。中間線の原則を適用しても離於島は明らかに韓国の管轄区域である。

[17] 真の父母様は、米国は他国から手を離しながらも、韓国からは手を離さないと公言されたが、その理由は、神様が公認しないと、摂理的に米国が韓国から手を離すことができない立場であると言われた。(摂理で見た南北統一、p169)

[18] オバマ大統領は、中国包囲戦略の一環として、最近、中国監視タスクフォースチームを新設した。これは、米国が戦略的利害関係がある地域では、中国に決して屈しないという強い意志の表明といえる。

[19] 朝鮮半島はユーラシア大陸の大国である中国とロシアに向けて短剣を突きつける戦略的要衝地である。今は南北に分断されて超大国の緩衝地帯の役割をしているが、朝鮮半島の統一がどのような体制で統一されるのかによって、周辺大国の命運が分かれる。

[20] 20年近く、毎年二桁の軍事費支出の増大を断行してきた中国が、今年も国防予算を前年比11の2%増である約6千703億元(118兆9000億ウォン)に策定した。しかし、これらの莫大な軍事費支出の増加は、人民経済の疲弊を招き、中国経済の危機を早める雷管になることもある。

 

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